高級ホテルや旅館に泊まって上質なベッドや寝具で眠ると癒されるものですよね。
でも皆さん、ベッドやマットレスは、西洋から日本に流入してきた文化だとばかり思っていませんか?
本日は、そんなベッドやマットレス、寝具のルーツを少しみてみたいと思います。
寝殿造り
実は、日本の中世にも「ベッド」(正確にはベッドに近いもの)がありました。
平安時代、貴族の一般的な住宅として知られているのが「寝殿造り」の建物です。寝殿造りは、帝の宮殿を模して造られていました。
屋敷は南を向けて建てられ、廊下で繋がれた数個の殿舎からなります。南側には庭園があり、池を造り前栽を植えました。
官位によって敷地の面積が定められていて、普通の貴族(五位くらい)には一町(126m x 126m)が許されていました。
各主要な殿舎の母屋は、縦2間(けん:柱と柱間) x 横3~7間。1間は3m~3.5mくらいの大きさがありました。
日本にも昔からあった、ベッドやマットレス
建物の床は板張りで、適当な場所に畳を置きました。
そのまわりを几帳や屏風で囲えば寝床に早変わり。多くの貴族たちは、骨組みのある蚊帳のような囲いを作ってそこを寝床にしました。これを「御帳」といい、現代でいえばベッドにあたるものです。
昭和でいうと四方を蚊帳で覆ったベッド、西洋でいえば天蓋付きベッドといった感じですね。ちょっと秘密基地か隠れ家の様な感じもします。
天皇や皇后やこれに準じた皇族だけは浜床(はまゆか)とよぶ木製のベッドを台にしました。
その上に畳二帖を南北向きに敷き並べ、四隅にL型の台を置き、三本柱をその各々の上に立てて(土居)、四隅を固め(高さ約2,030mm)、天井に明かり障子を張り、帽額(もこう)をめぐらせ、四方に帳を垂れました。
南以外の面の内側2枚の布帛を巻き上げて几帳を置きます。 現代でいう目隠しというかパーテーションですね。
日本人の寝心地の好みは?
もちろん、ベッドやマットレスとはいっても、現代の様にスプリングコイルは入っていませんので、クッション性はありません。日本人の伝統的な寝心地の好みは当時からどちらかというと「硬め」といえます。
当サイト「一流ホテルのベッド」にお問合せ頂くお客様の中でも「柔らか過ぎるとぐっすり寝れないので少し硬めのベッドを紹介して欲しい」とか、「今使っているマットレスが柔らか過ぎて腰や身体が痛いので、しっかり目の寝心地の高級ホテルのマットレスに換えたい」と言われる人が多くいらっしゃいます。
ちなみに、現代でも、日本のホテルや旅館では、たとえスプリングコイルのマットレスでも、西洋のホテルと比較して、どちらかというと硬めの寝心地が好まれる傾向にあり、西洋のホテルにある様な、沈み込む様な柔らかさのソフトな寝心地は好まれない傾向にあります。
表面はソフトでも、中は比較的しっかりしていて、しっかりと身体を支えてくれるという少し硬めの寝心地が好まれる傾向にあります。
内部の装飾は?
さて、平安時代の話に戻ります。御帳の内部は、畳の上に、龍鬢の筵(むしろ)という、色々に染めたイグサで編んだ筵を青色の錦で縁取りした物でうらに絹を付けた敷物を敷きます。(ここまで高級でなくても普通の茵(しとね)を敷くことも有りました。)これで一般の貴族よりは更に身分の高いあかしとしました。
さらにフル装備では、前方の柱に水難・病除けの犀角(さいかく)、後方の柱には魔よけの照魔(しょうま)の鏡を吊るして置きます。
釣燈籠(つりどうろう)を中につるして照明とすることもありました。また、御帳台の前に狛犬(阿形)と、獅子(云形)が置かれます。
また、御帳台は、日本ならではの四季に応じて、模様替えがおこなわれ、季節に応じたデザインが選ばれたといいます。
日本の就寝スタイルのルーツ
西洋の高さのあるベッドと比較して、床に近い低い位置での就寝スタイルと設え。この御帳台を見ていると、どこか、現代の日本の一流ホテルや高級旅館の和モダンなお部屋に通じるところもあるのではないでしょうか。
日本人の遺伝子の中に、伝統的な日本の寝床へ回帰する心が刻まれているのかもしれません。
もちろん、今の我々一般の人間が寝ているホテルや旅館の寝具は、当時の天皇皇后や皇族達が寝ていた空間よりも、ずっと品質やグレードが高くなっていて贅沢なものであるということは言うまでもありません。
まとめ
インバウンド・外国人観光客の増加している昨今、海外からの旅行客にとっても、和モダンなホテルや旅館の客室に泊まれば、日本独特の伝統的な就寝空間から現代に繋がる文化を体感できるのではないでしょうか。
最後までご覧いただき、有難うございました。
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