ホテルのベッドで最も重要な要素は寝心地と耐久性です。ホテルには不特定多数のお客様が常に宿泊されますので、ご宿泊の皆様に快適な睡眠をご提供することと、長年耐え得るだけの耐久性がベッドにも求められます。 |
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また、ベッドは、宿泊のお客様が一日の内で最も長時間、直接身体に触れるアイテムのひとつです。「眠り」「快眠」にこだわりを持たれるお客様が増えている昨今、各ホテルが客室のベッド・寝具をより重視し、戦略商品として、ホテルのPRアイテムとして、その差別化競争は益々激しくなりつつあります。 |
一般的にホテルの場合、各ホテル様が開業(オープン)されてからリニューアル時期まで、平均して約10年程度は同じベッドが使われています(客室の稼働率等によっても異なります)。2〜3年で簡単にヘタってしまう様な作りで安価なだけのベッドでは、ホテルの客室では採用になりません。ホテルベッドは業務用として耐えられるだけの仕様で設計されています。 |
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ホテルベッドのマットレスの種類として、現在大きく分けて「ポケットコイルタイプベッド」と「ボンネルコイルタイプベッド」の二種類がございます。
従来、ホテルのベッドは「ボンネルタイプ」が主流でしたが、最近リニューアル・オープンされるホテル様では多くが「ポケットコイルタイプ(標準 or ハード)」のベッドに変わりつつあります。
ポケットコイルマットレスは、コイルが連結されておらず、一個一個が独立していますので、体圧分散効果に優れ、より自然な寝姿勢が保てるという利点にあります。
マットレスに上からある一定の圧力を加えた際、ボンネルコイルマットレスの場合、押さえた周囲も一緒に沈むのに対して、ポケットコイルマットレスでは、押さえた箇所だけが沈むというイメージの違いです。(下図ご参照)
例えばダブルルームなどで、横に一緒に寝られているかたが寝返りを打たれても気付きにくいとも言われています。
ポケットコイルマットレスでは、身体を「面」で支えるというより「点」で支えるという特徴があるのです。
従来のボンネルコイルマットレス |
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圧力をかけた箇所の周囲も一緒に沈みます |
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ポケットコイルマットレス |
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圧力をかけた箇所だけ沈みます
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また、マットレスの表面にスイートルーム仕様としての「ピローソフト仕様(オプション)」を付けられるホテル様も最近は増えています。
また、一部のスイートルームでは、「パーフェクトスイート(パーフェクトスリーパー)」や「パーフェクトデイ(パーフェクトナイト)」)等も納入されています。 |
※マットレスの二重に見えているところが「ピローソフト仕様」 ↓ |
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日本のホテル業界では昔から和式生活の名残からか西洋のホテルと比較してどちらかというと少し硬めのマットレスの方が好まれる傾向にありますが、日本人と比較して体格の大きな西洋人の方が柔らか目のベッドが多くなっているということからも、マットレスの「硬い」「柔らかい」は体格の違いというよりも、寧ろ生活習慣やお好みの要素の方が大きいのではないかと思われます。
ベッドにも色々な種類がありますが、どんなベッドも、目指すところは「自然な寝姿勢」であり「快適な睡眠」です。
2 , ボトム(下部フレーム)にもコイルが組み込まれています
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ホテルのベッドでは、基本的に、上のマットレスだけでなく、下のボトム(土台となる部分)にもコイルが組み込まれています。(ボックススプリングボトム) |
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そのため、上から受ける体圧を、マットレスだけでなく、下のボトムでも、吸収・分散しますので、より高い耐久性と、深みのある寝心地を実現しています。
(タイプによってはクッション性のないボトムもあります)
一般的に、窓の開かないホテルの客室内のインテリア備品に求められる要素のひとつには、換気・通気性もあります。 |
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その点、ホテルベッドのボトム(ボックススプリング)は、中はコイル構造で、周囲は全て通気性の良い布張りですので、上下動のクッションによる空気圧はすべてサイドや下部に抜ける構造になっています。(上のマットレスの周囲にもエアレットという空気孔が付いています) |
ホテルベッドは、受注生産で、お客様よりご注文を頂いてからその都度工場でお作りします。それは、ホテルの客室に必要なベッド数というのは、各ホテルの客室数によって、1台、数台、数10台、100台、200台、何百台・・・と、さまざまです。その為、一般的に家具屋さんに流れている様な、家庭用ベッドの様に、見込み生産体制が難しく、保管場所の問題もありますので、基本的にすべて受注生産となっています。
そのため、製造期間はかかりますが、逆に言えば、その都度サイズを変えてお作りすることも可能です。一般的なシングル・セミダブル・ダブル・クイーンなどのサイズの中間的なサイズや、長さについても、通常は1,970mmですが、コイルを一列増やして2,050mmにしたり、二列増やして2,130mmにすることも可能です。
(お値段は変わってきます)
(横巾については、「一本物」のマットレスの最大の横巾は、基本的に180cm巾ですが、それ以上、「ジョイント仕様」にすれば、もっともっと大きくできます。)
また、ホテルベッドは、家庭用のベッドによくある様に、下のフレームが上のマットレスより大きかったり、出っ張りなどがありませんので(マットレスのサイズとボトムのサイズがほぼ同じ)、二台を並べて、ジョイント仕様で作ることが出来ます。
ベッドカバーやシーツ等の寝具をはぐると、ベッド本体は下図の様になっています。
寝具類を取ると
↓↓
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ホテルのベッドでは、どんなサイズのベッドでも、二台並べてマットレスとマットレスの間をジョイント仕様にしてお作りすることができるのです。(Sサイズを2台、SDサイズを2台、DサイズとSサイズ・・・等々)
ベッドとベッドの間に隙間が出来ません。
(一般のお店で売られているベットの場合、二台を単に並べるだけですので、間に隙間ができたり、使っている内に、二台が離れてしまいます)
実際のホテル客室でも、キングサイズ以上の大きなベッドは、この様な仕様で納入されています。他にも、二台のベットの周囲を一本のバンドで巻いて締める方法等もありますが、手間がかかったり、びったりとうまくジョイントできなかったりしますので、左図の方法がおすすめです。
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マットレスの辺と辺を完全にジョイントします(赤ラインの部分)
二台のベッドをジョイントされ、さらに、上から一枚物の大きなベッドパッドやシーツ等でベッドメイクされますと、より、二分割という違和感がなくなり、一体感が出ます。
ジョイント部分は簡単に外せますので、一台の大きなベッドとしても、また離せば別々の二台のベッドとしてもお使い頂けます。
ご参照ページ ;
ジョイント仕様で「大きなベッド」
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ホテルのベッドに最も多く触れる機会が多いのは、宿泊のお客様よりも、実は、日々ベッドメークしている、ホテルのメイクの担当者です。
ホテルの客室は、日々宿泊されるお客様が変わられ、毎日ベッドメイキングが必要です。そのため、頻繁にメイクがし易い様に、頭のところにあるヘッドボードとベッドは固定されておりません。(ヘッドボードは常に壁側に固定されています)。そのため、ベッド本体だけを動かすことが出来ます。(ヘッドボードがベッド側に固定されていると、ベッドを動かすとヘッドボードも一緒に動いてしまいます)。
また、ホテルベッドは、頭側の二箇所がキャスター、他の箇所が固定脚となっており、足元側を持ってキャスターを支点としてベッドを少し浮かせる様にして、手前に引き出したり移動させ易くなっています。 |
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宿泊のお客様側のことと合わせ、メンテナンスの利便性も考慮されたのがホテルベッドの特徴でもあるのです。
ご参照ページ ;
マットレスのメンテナンス(ローテーション)
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