いつの時代にもあった懐古趣味
最近は、昭和レトロのブームといわれています。

現代に限らず、いわゆる「懐古趣味」とか「古い良き時代への憧憬」というのは、いつの時代にもあった、ノスタルジー文化のひとつです。

たとえば、江戸時代中期以降、世の中で古典文学への関心が高まり、源氏物語や伊勢物語などの平安時代の物語が多くの読者を獲得したこともあります。これらの物語が歌舞伎や浄瑠璃などの演劇の題材にもなり、大衆文化に大きな影響を与えました。

また、ローマ皇帝ネロは、古代ギリシャの文化に憧れ、ギリシャ風の建築や服装を流行させたり、

あるいは、1920年代~1930年代に、アール・デコ様式やジャズ音楽が流行したり、1950年代に、アメリカン・レトロと呼ばれる、アメリカ文化への憧れから、ロックンロールや映画などが流行したり・・・と、

いつの時代も、世の中は常に、過去を振り返りながら前に進んできたのです。世界中の色々なレトロブームを挙げると、枚挙にいとまがありまん。
昭和レトロ
そんな中、現在の日本は、昭和レトロと言えるでしょう。昭和世代の人達が、昔の若かりし日々を懐かしんで顧みるというケースだけでなく、逆に、昭和時代には決してまだ生まれていなかった様な、Z世代の人達にも、昭和レトロが受けているのです。

親が若かった時代や、さらに、祖父母が若かった時代に流行ったものですから、彼らは、昭和世代が感じる「これって懐かしい・・・」とか「これ、あったあった・・・」という感想は持ちません。でも、まったく別世界のものではなく、同じ地で過去に流行ったもので、時代の流れというのは、数十年前から今の時代に繋がっているものですので、敏感な彼らは、そこに、時代のルーツを遡る様な、時代の流れを感じることが出来るのでしょう。決して一度も見たことのないものや初めて目にするものでも、時の流れそのものが感情に訴えかけ、”エモい”となるのかもしれません。

本日は、そんな昭和時代のホテルと、今の令和のホテルの違いを少しみてみたいと思います。
昭和のホテルって・・・
昭和のホテルというと、どんなホテルを思い浮かべますか?

豪華なクラシックホテルとか展望レストランが回転するホテルとか、レトロな照明やシャンデリアとか・・・

昭和時代のホテルは、現代のホテルとは色々な点で異なり、独特な雰囲気と魅力がありました。

たとえば、建築様式だけみても、戦前・戦後の復興期には、洋風建築を取り入れたモダンなホテルが建てられ、高度経済成長期には、大型のホテルが増え、豪華な造りや設備が特徴となり、バブル期は、リゾートホテルやシティホテルが盛んに建設される等・・・時代によって変化が見られます。

現代のホテルは、どちらかというとスタイリッシュでどちらかというとすっきりしたデザインや無駄を排したシンプルなデザイン、また外国人観光客を意識した和モダンなデザインなどが好まれる傾向にあります。

バブルの時代には、ゴージャスなデザインや設えのひとつひとつに今よりも費用をかけた本物志向の贅沢なものも多く、今から考えるとそこまでしなくても・・というほどの仕様も結構ありました。
また、子供の数が多かった時代は、修学旅行も今よりも多く、社員旅行の盛んな時代には、団体客を多く受け入れることの出来る大型ホテルも多く建てられました。

一方、ビジネスホテルでは、昭和時代の客室は、現代よりも客室が狭く、6畳~8畳程度が一般的でした。

喫煙可能な客室も多かったので、チェックインして客室に入った際、最初に「タバコ臭い」と感じた経験のある昭和の世代も多いのではないでしょうか。

設備面においても、テレビや冷蔵庫は一部の客室にのみ設置されていた時代もありました。

課金式テレビも客室に結構ありましたし、

ベッド脇のナイトテーブルには集中式のコントロールパネルが埋め込まれていて、スイッチ・調光器、時計等とともにラジオが埋め込まれてしました。

スマホやパッド、ノートPC持参で全館Wi-Fi完備が当たり前の令和ではちょっと考えられませんね。

また、浴室トイレは、浴槽と洗面台とトイレが一体となった3点ユニットバスが多く見られました。

昭和と令和のホテルのベッド
では、客室のベッドはどうでしょう・・。
昭和の時代に主流としてホテル客室に納入されたのは「ボンネルタイプ」のベッドでした。

この「ボンネルタイプ」は、コイルの一個一個が連結されていて繋がっている構造のマットレスです。

大手の有名ホテルのベッドでも、このボンネルタイプが主流でした。しかも、一般客室も、スイートルームも、同じグレードのベッドということがほとんどでした。
でも現在は、大手ホテル客室で主流なのは「ポケットコイル」構造のマットレスです。

もちろん一口に「ポケットコイル」と言っても、細かい仕様はさまざまで、グレードもピンからキリまでありますが、なぜ「ポケットコイル」が主流になってきたかというと、やはり寝心地です。
ベッドの場合、見た目やデザインは、昭和の時代も令和の今も、外見だけではほぼ同じです。
家庭用のベッドの場合、表生地や色合いなど、比較的に外見上の流行はありますが、ホテル仕様の業務用のベッドは外見よりも中身重視で、寝心地や耐久性が問われますので、見た目だけは今も昔もさほど変わっていません。
寝心地重視の現在のベッド
ボンネルタイプがコイル一個一個が繋がっているのに対して、ポケットコイルは、コイル一個一個が繋がっておらず、独立しています。

いわば、コイルはバラバラの状態で組み込まれているのです。バラバラのままだとマットレスを成しませんので、一個一個が袋に入って、その袋と袋か繋がっているというわけです。

なぜコイルが繋がっておらず独立しているかというと、宿泊者が寝た際、ボンネルタイプが身体を面で支えるのに対して、ポケットコイルは「点」で支える役割を負っているからです。それにより、背中の凹凸に応じて、自然な根姿勢が保てるというわけです。

コスト的にみると、同グレードで考えた場合、ボンネルタイプのコイルよりもポケットコイルタイプの方が少しだけ高くなります。ホテルを運営する側からすると、客室のベッドやマットレスは、商売道具のひとつ。少しでも予算を抑えてボンネルタイプ・・・という考え方が多かったのが、昭和の時代。令和の今は、運営コストよりも、宿泊客の満足感や身体のことを考えて、ポケットコイルに・・というホテルが次々に増えてきたのです。

それとともに、ポケットコイルのコイルそのものや配列方法、上の詰め物等も次々と進化してきています。
ベッドの高さ
先ほど、昭和のホテルのベッドと令和のホテルのベッドは、見た目はさほど変わっていませんと言いましたが、「高さ」と「横幅」には少し変化があります。
昭和のベッドの高さは、床からマットレス上面まで、約40センチ程度、今より低めでした。

でも令和の今では、約40センチから50センチ、さらに、マットレスの表面にオプションとして存在する「ピローソフト仕様」をプラスするとさらに高くなり、

また、最初からスイートルーム向けとして設計された「パーフェクトスイート」や「グランドプレミアムホテル」等では、約70センチ程度の高さのモデルも存在します。

ベッドの横幅
ベッドの横幅は、客室の広さに関係します。昭和時代のホテルは、部屋の面積も今より平均して狭い傾向にありました。「シングルルーム」という呼称の客室には、基本的に「シングルサイズ」程度のベッド(98センチ幅~103センチ)が多く納入されていたりしました。

でも、令和の今は、たとえ「シングルルーム」という呼称の客室でも、ベッドは決して「シングルサイズ」ではなく、「セミダブルサイズ(123センチ幅)」や「ダブルサイズ(140センチ幅)」等のベッドが納入されるケースが多く、全体的にベッドの横幅は昔よりも広くなっている傾向にあります。

ビジネスホテルでさえ、比較的にゆったりとくつろげる空間が確保されています。
安心安全な令和のベッド
昭和の時代、大きなホテルで悲惨な火災事故が発生したこともありました。

このようなことも踏まえて、令和の現在では、ホテルのベッドのマットレス表面に「ファイヤーブロッカー」という難燃素材が使われていることも、業務用ベッドとして進化してきた安心安全の為の対策のひとつです。
(ちなみに、当サイト「一流ホテルのベッド」は、実際に大手ホテルで採用されている最高級ベッドをご家庭向けにも一台からお届けしていますので、業務用の安全性が家庭でも活かされる形です。)

スケールの大きいホテルから、スモールなラグジュアリーへ・・・量より質へ、コスト重視から寝心地重視、安心安全重視へ・・・というのが昭和のホテルから令和のホテルへの変化のひとつといえるでしょう。
いくらレトロブームといっても、「寝心地」や「耐久性」や「安全性」という、進化してきた目に見えない重要な要素は、昔に戻るということはないでしょう。

当サイト「一流ホテルのベッド」では、昭和から続くロングセラーの「ボンネルタイプ」も、「ポケット仕様」の令和の新しい「ポケット標準タイプ」や「ポケットハードタイプ」、また、最高級の「パーフェクトスイート」や「ライトブリーズピローソフトホテル」、最高峰の「グランドプレミアムホテル」まで・・・幅広くモデルを揃えていますので、各ラインナップについては、「一流ホテルのベッド」のサイトをご参考にして下さい。
まとめ
近年、20世紀後半の文化への憧憬から、昭和レトロブームが起こっています。ファッションでは、古着や昭和風のアイテムが人気を集めています。音楽では、昭和歌謡やシティポップが再評価されています。また、昭和時代の雰囲気を再現した喫茶店やバーも人気です。

レトロブームは、単に過去を懐かしむだけでなく、現代社会への不満や不安から、過去の良い時代を理想化して求める心理も反映されていると考えられています。
レトロブームは、時代によって流行する対象は異なりますが、いつの時代にも存在する普遍的な現象と言えるでしょう。
今回、昭和のホテルのベッドと令和のホテルのベッドについて少しみてみましたが、周辺のベッドカバー等の寝具類についても、今後また次回以降、みていきたいと思います。
最後までご覧いただき、有難うございました。
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◇ご参照 ホテル客室必須アイテム ;
ベッド ホテル シーツ ホテル ベッドカバー ホテル 枕 ホテル
ベッドスプレッド サータ 和室 ベッド ベッドスロー
大きいサイズ ベッド サータ ホテル マットレス
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