旅行の楽しみの一つといえば、旅先の宿でのんびり過ごすことですよね。ホテルに泊まることもあれば、旅館でゆったりと過ごすこともあるでしょう。それぞれに違った魅力がありますが、実は寝具にも違いがあるってご存知でしたか?

本日は、ホテルのマットレスと旅館の寝具の違いについて、また似ている点について、それぞれの特徴を比較しながらご紹介します。
ホテルのマットレス
なんといってもホテルは、快適性を追求した「眠りのプロ」です。

もともと西洋文化から流入してきた「ホテル」の客室は、基本的に洋室で、寝具の中心はなんといってもベッドです。チェックインして部屋に入った際、最初に目に飛び込んでくるのは、ドンと構えたベッド、というケースも多いでしょう。

基本的に、ホテルのマットレスには、以下のような特徴があり、また以下の様な点が求められています。
耐久性と快適性の両立
ホテルには不特定多数の宿泊客が毎日宿泊するため、ホテルのマットレスは、長期間にわたってへたりにくく、いつでも最高の寝心地を提供できるように設計されています。

とても耐久性が高いのが特徴です。老若男女、体格も国籍もさまざまですので、基本的にどんな人に対しても満足感を提供し、誰にでもフィットするという普遍的な快適性がその設計思想です。
体圧分散性に優れている
多くの大手ホテルや高級ホテルの客室で採用されているのは、ポケットコイル構造のマットレスが中心です。

これは、一個一個の独立したコイルが体の凹凸に合わせて沈み込み、体圧を分散してくれるため、身体への負担が少ないのが特徴です。横揺れも少ないので、隣にいる人の寝返りも気になりにくいのが特徴でもあります。
厚みとクッション性
一般的に家庭用のマットレスよりも厚みがあり、しっかりとしたクッション性や反発力があるものが主流です。

マットレスそのものが寝心地を左右する重要な要素となるため、ホテルのグレードや客室のグレードに合わせて品質の高いものが選ばれています。高級感を醸し出す「ピローソフト仕様」も人気です。
通気性への配慮
ホテルの客室は、基本的に窓が開かない構造が多いので、マットレス自体も通気性を重視した設計となっていて、通気性の高い素材や構造が採用されています。

これは、結露等に悩む一戸建てやマンション等の一般家庭向けとしても、ホテル仕様のマットレスが大変人気の高い理由のひとつになっています。
製造技術
特に高級ホテルにマットレスが納入される際は、ホテルの支配人や関係者、設計事務所などのプロによる厳しい検査がおこなわれます。

この厳しい検査に合格できる品質のマットレスを製造できるメーカーは、日本国内でも数か所程度の工場に限られています。
旅館の寝具
一方、旅館の最近の傾向としては、日本の「和」の伝統と、進化するデザイン・快適性です。

もともと旅館の客室は純和風で、その寝具には昔からの日本の伝統が息づいています。
布団が基本
昔ながらのスタイルの旅館では、畳の上に直接敷く敷き布団と掛け布団の組み合わせが一般的です。

旅館の寝具では、日中は布団をたたんで収納しているため、客室を広く使えるのが最大のメリットです。もともとホテルのインテリアと比較して、日本旅館の室内には家具類が少なく、高級ホテル等では一般的に置いてある木製チェスト等に該当する木製家具は置いておりません。

極力無駄を排除したのが日本旅館の客室で、基本的に、畳の上に、座卓と座椅子さえ置いてあれば、お茶を飲んだり、のんびりくつろいだり、自由な空間使いが楽しめるのが日本旅館のシンプルさです。
畳との組み合わせ
敷き布団は、ホテルのマットレスほど体圧分散性を重視したものではないことも多いですが、畳の適度な硬さとの組み合わせで、腰への負担が少ないと感じる人も多く、日本人にとってはそれが当たり前という感触でしょう。

旅館でいう”マットレス”とは?
従来から旅館の布団では、敷き布団の下に和式マットレスと呼ばれる薄手のマットレスを敷く場合があります。

これがあることで、少し就寝位置が少し高くなり、布団だけでは物足りないと感じる人でも、より快適に眠ることができます。従来は、これをマットレスと呼んでいました。
進化する和モダン
ただ最近、インバウンド(外国人観光客)も増加している中で、日本の和室の雰囲気を残しつつ、和+モダンなデザインのマットレス、さらにはベッド(上下セット)を導入する旅館も増えています。

ベッドに慣れている外国人にとっては、布団だけというよりも、ホテルの様なスプリングコイルが組み込まれたマットレスの方が身体に合うのは当然でしょう。

中には、敢えて日本の布団のスタイルを選択する外国人旅行者もいますが、長旅を癒し、尚且つ、日本のスタイルを体感してもらうには、この「和モダン」は、旅館側にとっても大変都合の良いスタイルです。

この場合、実際に高級ホテルで採用されているホテル仕様マットレスを採用するケースも多くなっています。
旅館のマットレス
では、旅館が実際に導入することの多い、高級ホテルのマットレスのラインナップをいくつかみてみたいと思います。
ボンネルタイプ

「ボンネルタイプ」は最もコストパフォーマンスに優れたモデルです。従来型のマットレスですのでポケットコイルではなくボンネルコイル構造で、これまで全国の大手ホテルに採用されてきたロングセラーのモデルです。(マットレス厚(高さ)は約220mmHです。)
納入事例 ; 航空会社系・電鉄系ホテル・シティホテル・ビジネス系ホテル・・・その他多数
ポケット標準タイプ

最近オープン・リニューアルされるホテルの「一般客室向けグレード」として最も多く採用されているモデルです。マットレス表面には「片面ピローソフト仕様」か「両面ピローソフト仕様」をオプションとして追加することも可能です。(「両面ピローソフト仕様」でマットレス厚(高さ)は約280mmHとなります。)
納入事例 ; リーガロイヤルホテル・ニューオータニ・三井ガーデンホテル・・・その他多数
ポケットハードタイプ

「ポケット標準タイプ」に、よりしっかり感を加えたハードタイプです。こちらも、マットレス表面に「片面ピローソフト仕様」か「両面ピローソフト仕様」をオプションとして追加することも可能です。(「両面ピローソフト仕様」でマットレス厚(高さ)は約280mmHとなります。)
納入事例 ; ヒルトンホテル・マリオットホテル・・・その他多数
ライトブリーズピローソフトホテル

大手ホテルの「スイートルーム向けグレード」です。マットレス表面の「ピローソフト仕様」は「片面仕様」か「両面仕様」のどちらかを選択可能です。(「両面ピローソフト仕様」でマットレス厚(高さ)は約340mmHとなります。)
納入事例 ; ホテルオークラ・ハレクラニ・・・その他多数
パーフェクトスイート

「ライトブリーズピローソフトホテル」と同等クラスのスイートルーム向けグレードですが、立体ピローソフト仕様で重厚感のある最高級ホテルマットレスです。(マットレス厚(高さ)は約360mmHとなります。)もし、このマットレスのみを単独で旅館の和室の畳の上に設置すると、36センチHという、和モダン客室にとって十分な高さになります。
納入事例 ; 大手ホテルのスイートルーム多数
グランドプレミアムホテル

五つ星ホテルのスイートルームよりも更に上の七つ星ホテルを対象にした最高峰のゴージャス仕様のモデルです。(マットレス厚(高さ)は約430mmHとなります。)もし、このマットレスのみを単独で旅館の畳の上に設置すると、マットレスだけで43センチの高さがあるということです。
納入事例 ; トランプホテル他多数
旅館がホテルのマットレスを導入するメリット
先ほど、旅館では「日中は布団をたたんで収納する」と申しましたが、実は、この布団の上げ下ろしという作業は、旅館の従業員にとっては結構な重労働なのです。

一方、上記の様な高級ホテルのマットレス方式を導入すると、布団の上げ下ろしが不要になり、負担軽減にもなる為、社内的にもメリットがあります。
逆に言うと、旅館が一旦ホテル式のマットレスを導入すると、中々もとの布団式のスタイルには戻れなくなる理由のひとつでもあります。

更に言うと、旅館がホテルスタイルのマットレスを導入するケースは増えていますが、逆にホテルが「和」を求めて布団式になるケースは中々聞いたことがありません。ホテル客室のインテリアデザインに(旅館を手本にして)「和」の要素を取り入れるケースはとても多いのですが、それはあくまでデザイン的な面だけで、睡眠の際の寝具までを布団スタイルにすることは無い様です。
タイトルにもあった、ホテルのマットレスが旅館のマットレスや寝具とどう違うかという点については、昔は、はっきりと特徴的に分かれていた両者ですが、最近、旅館がホテルのマットレスや寝具を導入して、徐々に和モダン化し、一部ホテルに近付いている傾向があるといえるでしょう。
まとめ
マットレスや寝具というのは、宿泊客が、滞在時間の中で、最も長時間、直接肌に触れることになるアイテムです。

ホテルのマットレスは「洋」の快適さを追求し、旅館の寝具は「和」の伝統を大切にしながら、現代のニーズに合わせて進化しています。
その両者は時代とともに融合しつつあり、客室の画像をパッと見たのでは、これがホテルなのか旅館なのか、わからないという客室も増えています。
どちらも、国内外からの多くの宿泊客に最高の休息・安眠を提供するために、時代に則した「おもてなし」の心が詰まっているという意味では同じなのです。

次にホテルや旅館に泊まる際には、ぜひマットレスや寝具にも注目してみてください。きっと、より一層旅が楽しくなりますよ。
あなたの理想の眠りは、ホテルと旅館、どちらのスタイルに合っていそうですか?

さらに、ホテルや旅館のマットレスを、自宅へ導入することも一考に値するのではないでしょうか。
最後までご覧いただき有難うございました。
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◇ご参照 ホテル客室必須アイテム ;
ベッド ホテル シーツ ホテル ベッドカバー ホテル 枕 ホテル
ベッドスプレッド サータ 和室 ベッド ベッドスロー
大きいサイズ ベッド サータ ホテル マットレス
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